ソフトウェア自動生成によるソフトDIY社会

最近、自然言語の指示に従ってプログラムを自動生成するツールが急速に進化しています。例えば、GitHub Copilotや、VS Codeなどのエディターに組み込まれたプラグイン(ClineやRoo Code)、さらにはCursorやWindsurfといった自動生成ツールなどが登場しており、従来のプログラマーが本格的なコードを自動作成できる環境が整いつつあります。これにより、プログラマーの生産性が従来の数倍数十倍になる可能性は容易に想像できます。

また、プログラミング教育においても大きな変革が期待されます。これまではプログラムの文法や作り方を一から学んできましたが、今後はまず課題を提示し、その解決策としてAIにコードを生成させ、そのコードを学ぶというアプローチが主流になるかもしれません。これにより、プログラミング初心者や未経験者でも、ゼロからプログラムを書くことなく実践的に学ぶ機会が広がるでしょう。

しかし、より大きなインパクトは、これまでプログラミングに手を出さなかった、または自分で実現できるとは考えなかった人々がソフトウェアを作れるようになることでしょう。

たとえば、農業従事者が自分の農場をセンシングしてスマート農業を実現したいと考えた場合、従来は専門の企業に依頼するか、あるいはそんなことができるのかと考えることすらなかったかもしれません。開発費がどのくらいかかるかも予測できません。しかし、今後は課題を持つ人がAIに助けられて自ら必要なプログラムを生成し、直接運用できる時代が訪れると考えられます。従来は専業のソフトウェア会社が介在していた工程を、ユーザー自身がDIY的に解決策として実現できるようになるのです。

この変革は、単にプログラミングやソフトウェア産業の効率が数倍になるという問題ではなく、もともとゼロであった部分が新たに生み出されるという、大きな(ゼロからしたら無限大の)可能性を秘めています。

特に日本では、ソフトウェア産業が中抜き構造になっており、発注元企業から下請けへと仕事が流れる中で多大な予算が抜き取られ開発も非効率になっていました。しかし、課題を持つ人が直接プログラムを作成できるようになることで、こうした中抜き構造や無駄なコストが解消され、社会全体の生産性向上につながると期待されます。

今後、ソフトウェアは単なる産業の一部にとどまらず、あらゆる分野に溶け込み、直接的な問題解決の手段として活用される時代が到来すると考えられます。

(音声メモをLLMで整理)

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Jun Rekimoto : 暦本純一
Jun Rekimoto : 暦本純一

Written by Jun Rekimoto : 暦本純一

人間とテクノロジーの未来を探求しています。Human Augmentation, Human-AI Integration, Prof.@ University of Tokyo, Sony CSL Fellow & SoyCSLKyoto Director, Ph.D. http://t.co/ZG8wEKTvkK

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