ビデオ講義
コロナのため東大の全講義がオンライン化した。東京大学で夏学期から始まっている数千の講義がいっせいにオンライン化するなど、わずか一ヶ月前では想像すらできなかったことだ。
ということで私が担当している東京大学大学院学際情報学府の総合分析情報学研究法というのもオンライン講義となった。この講義は4名の講師で構成していて、それぞれの講師が自分の研究法と研究分野の概説をする、主に修士1年生用の導入講義だ。全体を私がコーディネートしているので、4名それぞれの回をビデオ+スライド教材として提供し、最後の何回かはオンライン(zoom)による課題発表をしてもらうことにした。
ビデオ教材はQuickTimeの画面録画機能を使って作るのがもっとも簡単かつ便利で、喋りながら普通にプレゼンしていけばいいし、途中でスライドをやめてプログラムを動かしたりWebページを示したりも自由にできる。
それで、内容的に特に非公開にするところはないなと思って自分の担当回の教材をなんとなくYouTubeの公開モードにしていたら、公開一週間ほどで2,000回以上閲覧していただいたようだ。2,000というのはYouTube的には特に多いとは言えないかもしれないが、実はこの講義、コースの定員が17名で他コースからの履修生を含めても例年20名程度しか履修しない。
ということは単純計算で普通に講義室でやっていたら100年かかるところが1週間で達成されてしまったことになる。これにはちょっと考えさせられた。
この講義、内容は結構面白いと思ってますが、教材の体裁としては文字ばかりだし淡々と喋っている地味な感じなので、これほど閲覧していただいたのが意外だったのだ。
もちろんCouseraのようなMOOC(Massive Open Online Course)の存在も知っているし、放送大学の講師を担当したこともあるが、閲覧回数がリアルタイムでわかるところが講師的には参考になる。
オンライン講義はビデオやスライドのような教材をネットに置いておく方法と、zoom会議などを使ってリアルタイムにやる方法があり、一長一短がある。ビデオ教材は、再生するタイミングが自由(講義時間に見なければならないというわけではない)という利点に加えて、再生速度を変えられるという強力な利点がある。実際 、1.5倍速ぐらいで聞いているのが心地よい。聞き逃したところは巻き戻せばいいのだから。
さらに、YouTubeの驚異の音声認識によって、喋っている内容がかなり正確に文字起こしされている。その文字をクリックすると、そこに再生箇所を移すことができる。
これはかなり現実を超えている感覚で、こうなると現実の講義でも早送り再生とかスキップ再生をしたくなるだろうなという気がしている。もう今までのリアルには戻れないのではないか。
ということで講義資料はこちらです。これから研究を始める皆さんの参考になりますれば: